グラミー賞を獲得したフランク・オーシャンなどを世に生み出したThe Internetは、LAのオッド・フューチャーの中でも一際その迸る才能を爆発させているソウル・R&Bバンドだ。そんなThe Internetが2018年1月に来日した。東京と大阪で最高のライブを披露し、観客を興奮の渦へといざなった。
Bバンドだ。LAのヒップホップ集団オッド・フューチャーで唯一女性であるシド・ザ・キッドとスーパー3の名でも活動をしているマット・マーシャンを中心に活躍を続けているThe Internetは、それぞれのメンバーがソロ活動で活躍するほどの才能を持つ面々が集まっている。
2008年にMyspaceを通じマットとシドは知り合う。2011年には、シドがアトランタ在住であったマットをロサンゼルスに呼び寄せ、グループを結成する。そんなThe Internetはアルバム「Purple Naked Ladies」で華々しくデビューを果たした。このアルバムによって、The Internetはマスコミやネットなどの各方面から高い評価を得た。2015年、第58回グラミー賞で「Ego Death」が最優秀アーバンコンテンポラリーアルバムにノミネートされる快挙を果たした。翌年の2016年には、来日しFUJIROC KFESTIVALに出演して観客を大いに沸かせた。その後もシドがソロアルバム「Fin」を発表したり他のメンバーもそれぞれにソロ活動をして活躍の幅を広げている。
シドは14,5歳でスタジオをセットアップし始め、16歳になるとゲストハウスをスタジオとして使い始めた。そのスタジオでOdd Futureのメンバーと出逢い、DJをしたりレコーディングを楽しんだ。その後は、マットのアパートや親の地下室、ハリウッドなどを転々とし、最終的には今使用しているゲストハウスに落ち着いて、音楽制作を続けている。
二人が音楽活動をしていて音楽制作をストレスに感じる場面が多々あるという。マットの場合は、曲が全く浮かばず、壁にぶち当たるともう今日は作れないという状況になり、投げ出したいと思うことがよくある。しかし、音楽自体を辞めたいと思ったことはないと話す。一方、シドは、マットとは少し違ったストレスを感じている。「アイコン」としてみんなから憧れの目線を浴びることに疲れを感じている。ソーシャルメディアの引いたレールから抜け出したと感じていたり、いつも何か自分のことを発信しないといけない責任感のようなものを感じることに苦悩している。
シドはその苦悩に対し、他者と自分の生きる道は違うと受け入れ、認識することを意識している。また、色々と考えすぎず自然に振舞うことで自分を解放している。自然にあるがままの自分でいた方が物事は上手くいくと気づき、無理にソーシャルメディアを使うことをやめたシド。
The Internetは、音楽制作における壁を乗り越えるために環境を変えながらインスピレーションが浮かぶまで刺激を与え続けるからこそ、他にはない唯一無二のThe Internet音楽を生み出すことができるのだろう。また、人との違いを受け入れ、自然体でいるシドと何度壁にぶち当たっても音楽を愛して止まないマットだからこそ、世界の中のリスナーを熱狂させる音楽を発信し続けられるのだ。
The Internetが来日して感じることは、日本人が見る日本とアメリカ人から見る日本に対するイメージの差だ。The Internetが来日すると日本人からは「何で日本なんかに来日してくれるの? 」と言った反応があるが、アメリカの人々は違う。アメリカ人は、日本がクールな国だと思っていて、The Internetが来日するとなると周囲は皆揃ってうらやましそうな反応をする。日本はアニメやファッションなど新しいものに敏感な国だと日本を賞賛するThe Internetは、日本のようにイケてると思ってもらえる作品をこれからも生み出し、文化として残していきたいと言う高い目標を掲げながら日々音楽活動に向き合っている。そんなThe Internetからどんな音楽が生まれるのか楽しみでならない。
Photo:https://www.facebook.com/TheInternetMusic/photos
Written by 編集部