書き起こし職人のみやーんZZがblock.fm『SUMMITimes』にゲスト出演。その中で、SUMMITの増田岳哉さん、平林錬さん、ライターの高橋圭太さんとチェックしているラジオ番組や聴取方法、ラジオ書き起こしのテクニックや心がけていることなどについて話していました。
高橋:ラジオの話もちょっとしたいんですけど、僕も普段ライターをやっていて。僕、世界でいちばん嫌いなのが書き起こしなんですよ。インタビューの音声を書き起こすみたいなのが……。
増田:ライターさんは必須の仕事ですもんね。
高橋:ただ、大嫌いですね(笑)。
みやーん:そうおっしゃる方は多いですよね。
高橋:でも、みやーんさんは割とそれに関しては好きというか。その行為に関しては「好き」ってならないと続けられないですよね?
みやーん:そうですね。もう慣れてしまったからだと思いますけどね。たぶんインタビューをされる時、そのインタビューの流れとか段取りとかがあって。それで上手くいったらいい気分になるとかあると思うんですけど。文字起こしも似ているところはあって。最初、音源をチェックしてこれぐらいの尺で作業量は……って見積もりして。「ここは端折れるな」とか。慣れるとだいたいの段取りが見えてきて。だから、それほど苦痛にならないですね。
増田:やっぱり興味があるトピックスだからっていうのもあるんですか?
みやーん:それもありますね。あとは、結構サラッと聞き流している時には見落としていたことが実際に起こしていると結構見えてきて。「ああ、だからここがこういう話の流れになっていたのか。つながった!」とかわかったりして。
高橋:再認識系ですね。なるほど。ちなみにたとえば10分ぐらいの会話を、だいたいどれぐらいのスピードで書き起こしされますか?
みやーん:話している人数が……。
増田:そもそも、タイピングされるんですか?
みやーん:そうですね。基本はタイピングで、時々ツールも使ったり。自動起こしツールみたいなのがあって、そういうのも使うことがあるんですが、まだそんなに精度は高くないんですよね。
増田:そうですよね。圭太さんも使うんですか?
高橋:でも、よっぽど明瞭にしゃべっていないと認識してくれないので。まだちょっと実用は難しいかな?って思っているんですけど。ラジオとかは逆にまだいけるような気がしますよね。
みやーん:そうですね。だからアナウンサーの方とかが1人でしゃべっているみたいな場合だと結構いいんですけども。
増田:ああ、本当にはっきり明瞭に。でも、我々みたいなボソボソ系は……。
高橋:アウトですね(笑)。そうか。それで平均だとどれぐらいお時間がかかるんですか?
みやーん:たとえば、さっき「10分ぐらいの尺で」っておっしゃっていましたけど、2人の会話を手で起こすとしたら、だいたい30分ぐらいでできますかね。
高橋:ああ、30分ぐらい。そうっすね。
増田:10分ってかなりの会話量っすよね。
高橋:でも、そうか。それはそんなに変わらないっていうか。そうなんですけども……。
増田:ああ、インタビューでもそうですか?
高橋:うん。ただ、意欲が……意欲が途中で折れちゃうっていう(笑)。
みやーん:たぶんご自身でインタビューされて、その後で起こすっていうのだとインタビューで1回、ピークが来るから。
増田:ああ、そうか。たしかにそれは違いがあるかもしれないですね。
みやーん:だから「後処理」みたいなイメージになると、ダルいですよね。たとえばなにか仕事が終わってその後に請求書とか出すのはダルいじゃないですか(笑)。
高橋:ああ、たしかに(笑)。
増田:でも、出さないと怒られるんで出しますよね(笑)。
高橋:そういう感じか、なるほど。
(中略)
増田:でも、音楽も聞いてラジオも……ラジオをチェックする量だけでも相当時間が取られると思うんですよ。自分、ラジオが好きなんですけど。ラジオが好きだから正直、いくらでも聞けるんですけど、それをやると音楽を聞かない時期っていうのができてしまうんですよ。またラジオが聞きたくなるんで。で、ラジオって2時間の番組だったら早回しで聞くわけじゃないんで。2時間、本当にそのままいるんで。なんか、どういう風に時間を使っているのかな?って気になりますけどね。
みやーん:でも、僕は音楽がかかるラジオを聞いている気もしますけどね。
増田:ああー、なるほど。なにかしら音楽が絡んでいるラジオが多いですか?
みやーん:そうですね。だから渡辺志保さんがbayfmで始められた番組『MUSIC GARAGE:ROOM 101』なんかもそうですし、PUNPEEさんの『SOFA KING FRIDAY』もそうだし。その後にやっている小袋成彬さんの『MUSIC HUB』とかもそうだし。結構ラジオから音楽情報をゲットしているみたいなところはありますよね。
高橋:映画も見られますか?
みやーん:映画もそうですね。割と見る感じですね。
増田:これはもう全方位好奇心!
みやーん:逆にテレビは全然見ないんで。テレビは全然わかんないですね。
増田:うんうん。
(中略)
増田:あの、もうちょっとテクニカルな……「テクニカル」って言ったら大げさですけども。ラジオって何局も放送局があるじゃないですか。インターネットラジオもあって。たとえば、同時刻の番組とか、お昼の帯番組とかで重なっていたり。それは全部録れるシステムがあるんですか?
みやーん:とりあえずラジオを受信してPCで使えるデータで録音するみたいなそういうレコーダーみたいなのがあって。それが家に2台あって、1台はずっとTBSを録音していて。
増田:えっ、24時間ですか?
みやーん:ほぼ。割とフルで回していて。で、もう1台は他の局を録音していて。プラス、足りない分はradiko音源をPCで録音していたり。そんなやり方をしていますね。
増田:ちなみに1日で何件アップしようとか、そういうのは決めていたりするんですか?
みやーん:そういうのはなくて、まあ面白いのがあったら……っていう感じですけども。
増田:だから「面白いのがあったら」っていうのは、実際に聞かないとわからないから。でも聞くのってマジで大変だと思うんですよね。俺、ラジオ聞くからわかるのよ。
高橋:時間がその分量だけかかりますからね。
平林:好きじゃないと無理ですよね。
増田:で、書き起こしをよくネットで僕も見させていただいているんですけども。本筋に行くまでのイントロの部分までもちゃんと書いてくれているから。そこの部分だけを抜き出して……っていうんじゃないんで。そこが俺、すごいなって思うんですよね。
みやーん:でも、ある意味そこが大事だったりしますからね。逆に、文字に起こされる方々が結構、そういう風に「切り取られた」っていう風におっしゃる方もいるじゃないですか。だから、なるべくそこの実際の話しているニュアンスが保てるぐらいは前後を残した方がいいかなと思ってやっているんですよね。
増田:助走がちゃんと長いので。なんか、そのひとつの記事だけでもラジオを聞いたみたいな感じになれるっていうのはあるのかなと思いますね。
みやーん:結構、そこは割と気にしているところですね。
増田:圭太くんとかもアーティストの方々をインタビューして、「ここはこの答えを書く前に、その前段の部分ってどれぐらい必要かな?」って結構悩む部分ですか?
高橋:でも、僕はそもそも「インタビューしたものを1回、全部起こせ」っていう風に教わっていて。だから、「いったん全部やって、その流れをくんで編集をするというか、原稿の必要な文字数に当てはめるみたいなことをするのがいい」って言われていたんで。それをいまでもやっているんですけど……でも、まあちょっとカロリーがかかりすぎるところがあって。そのせいで、テープ起こしが嫌いになりました(笑)。
みやーん:フフフ(笑)。
増田:割とインタビューでも長く話しますもんね。
高橋:そうですね。1時間程度はっていう感じですよね。
増田:いやいや、もっとしゃべっているのは長いでしょ? 圭太くんにインタビュー、何度もやってもらってますけども。
高橋:たしかに。SUMMITの人は話が長いですね(笑)。
増田:フフフ、すみません(笑)。
(中略)
増田:みやーんさん的に、いままでその膨大なラジオを聞いてこられて、1個2個って選ぶのは無理だと思うんですけど、特に印象に残っているベストラジオ放送回みたいなのってありますか?
みやーん:ベストラジオ放送回ですか? なかなか難しいですね……。
増田:まあ、「こういうのが印象に残っている」みたいな放送とか、あったりしますか? まあ、最近で印象に残っているみたいなのでもいいですけど。
みやーん:最近……ちなみに、今年いちばん僕のサイトでアクセスが来たのが、赤江珠緒さんの『たまむすび』で……。
増田:ピエール瀧さんの?
みやーん:瀧さんのではなくて、その件があった後で、博多大吉さんとフライデーに写真を撮られたっていうのがあって。で、それに対して「実はこういうことがあって……」って。ピエール瀧さんの一件があって赤江さんがいろいろと悩んでいて、「もう番組を辞めようかと思っている」っていう風に博多大吉さんに相談をしている時に写真を撮られたみたいな。
高橋:そうですね。
増田:ああ、そんなニュースがあったんですね。知らなかったです。
平林:読ませていただいて。あと、それを見て音源も聞きました。
みやーん:それが週刊誌に写真が出ちゃって。お二人とも既婚者なので「これは不倫なんじゃないか?」みたいなことを書かれてしまっていて。それに対して「いやいや、実は……」って。それでピエール瀧さんの話もあったし、ラジオの放送で結構深い話をされていて。実際にいつもラジオを聞いている人たちにとっては、赤江さんと大吉さんはそういう信頼関係があるということはわかっているんだけど、でもそれを知らない人たちは逆にその週刊誌に載ったことを信じてしまうっていう。
増田:ああー。まあぶっちゃけ、その方が多いのかもしれないですよね。
みやーん:たぶんそっちの方が多いんでしょうけど。でも、僕はラジオが好きな方なんで。
増田:いままでの空気感がわかっていて。
みやーん:だから、その空気感が伝わればいいなと思って起こしたやつが……。
増田:おおっ、めっちゃ素晴らしいじゃないですか! かっこいい!
みやーん:割とラジオが好きな方にはよかったんじゃないですかね。
https://miyearnzzlabo.com/archives/56572
増田:伝わったという。ああ、そうなんですか。その記事はちょっと自分は……瀧さんが番組に出られなくなったという回で大吉さんと話しているのは読みましたね。
みやーん:それもすごいよかったですよね。
増田:よかったです。すげーよかったです。
みやーん:やっぱり、ラジオってすごく身近な感じがするメディアだから、ずっと聞いているとその人のことが好きになっちゃうんですよね。
増田:ああ、本当にそう思います。
みやーん:だから、ねえ。好きになっちゃうと多少、その人がなにか事件が起こしちゃったりしたとしても、「でもまあ、好きになっちゃっているんだからしょうがないよね」っていう風に僕は思ったりしてしまうんですよね。
増田:すごくわかりますね。たぶん、みんな同じように配信されているただの1人なんですけど、自分に対して言ってくれている感じみたいなのを勝手に、回数を聞けば聞くほどそういうのはありますよね。なんか友達のような感じみたいな。
みやーん:うんうん。そうなんですよね。だからそれはテレビとか他のメディアとは違うところだなって思って。そしてそこの魅力がなるべく伝わったらいいなと思ってやっているというのは……僕もすごいラジオ好きなので、その気持ちはありますね。
番組情報
▶「SUMMITimes」
放送日:毎月第2月曜日 21:00 - 22:00 O.A.
番組URL : https://block.fm/radios/9
ヒップホップレーベルSUMMITがお送りするラジオ番組。その時々でテーマを変えて、いろんな音楽を紹介する気ままな番組です。司会者のトーク・スキルには問題アリですが、構えず楽しんで聞いてもらえたらうれしいです。
written by みやーんZZ