優れたドリルンベースを発表してきたSQUAREPUSHER(スクエアプッシャー)

コォーンウォール派のミュージシャンSQUAREPUSHER(スクエアプッシャー)
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2018.05.28 09:27


コォーンウォール派のミュージシャンSQUAREPUSHER(スクエアプッシャー)


SQUAREPUSHERは、トーマス・ジェンキンソンのソロプロジェクトである。コォーンウォール派に分類されるイギリス出身のミュージシャンであり初めはベーシストとして活動していたが、電子音楽を始めてからはドリルンベースの大家となった。




ベーシストとして活動を始めたSQUAREPUSHER


SQUAREPUSHERはジャズミュージシャンとして活動していた父親の影響を受け、自身も小さいころから音楽に親しんできた。彼の音楽を語る上で欠かすことができないベースは、12歳のころから弾き始めた。初めのうちは人間が演奏する音楽にこだわっており、シーケンサやシンセサイザーを使う打ち込み系の音楽に興味を持っていなかったが、15歳で聴いたLFOをきっかけに電子音楽を見直すことになる。


SQUAREPUSHERの名義を使うようになったのは1994年からで、ワープレコーズから1997年にアルバムを発表したことでシーンの中心となった。1990年代後半に使用していた機材は旧式で廉価なものが多く、作品の緻密な内容とのギャップが話題となった。旧式の機材ならではの太くて荒い音質が、フュージョンやジャズを感じさせる音楽性と調和していたことから好評な意見も多かった。さらにアシッドハウスで使用されていた機材も好んで使っていたので、ドラムンベースの要素と一緒にアシッドハウスの要素も強く表現されていたのが特徴だ。




しばらく打ち込みの作曲をやめてフリージャズなどのアプローチを強めていた時期もあったが、1999年にリリースした作品から打ち込みを復活した。また、初期のころから使用してきたチープで古い機材はできることをやりつくしたとして、使用されなくなり、コンピュータを使った作曲に移行した。作曲方法を変えた影響からか、その後のアルバム以降はベースを演奏しない時期もあったが、2004年ごろには再びエレキベースを使用するようになった。






デビュー当時のSQUAREPUSHERは4弦のベースを使っていたが、現在は6弦のベースを使うことも多くなっている。この他、ベースだけでなくドラムやクラシックギターなども使って作曲しているが、ライブで使用するのはベースだけである。ベーシストとしての評価も高く、他のミュージシャンと演奏する機会も増えている。


SQUAREPUSHERが初めて来日したのは1997年であり、ブートレグとしても残っているこの頃の音源は古い時期の音源なので貴重である。


ドリルンベースとはどんな音楽か


ドリルンベースと呼ばれるジャンルはドラムンベースが起源となる音楽ジャンルの1つであり、アーメンブレイクと複雑なプログラミングが特徴である。


また、初期のジャングルをサンプリングすることが多く、サンプリングのビートを解体して1音ずつにする。それにディレイやピッチシフトなどをかけることによって、ドリルンベースならではの壊滅的に聴こえるがリズミカルなビートを作成できる。ドリルンベースのプログラミングはVSTプログラミングが普及したことによって、クリックやグリッチといったエレクトロニカの分野にも影響を与えた。




SQUAREPUSHERがリリースしてきた作品について


SQUAREPUSHERの1作目はインダストリアルな暗さを感じさせる空間に、ドリルンベースが鳴り響く作品としてシーンに衝撃を与えた。続くワープから発表された2作目は前作と同様にドリルンベースが使われているが、ポップでキャッチーな要素が増し、セールス面でも成功を収めた。1998年に発表されたアルバムはトレードマークでもあったドリルンベースが以前より鳴りを潜めて、生演奏がメインとなったことでファンを戸惑わせた。前作で聴かれたような明快なメロディーもなくなり、抽象的な音作りになっている。名盤として知られているのは2004年に発表されたアルバムであり、美しいメロディーとアバンギャルドさが同居している。




Photo:https://www.facebook.com/pg/squarepusher/photos


Written by 編集部



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