今やすっかり賞レースでもお馴染みの顔となったNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)。映画「レオン」でセンセーショナルなデビューを果たしたのちも順調にキャリアを積んできた実力派女優だ。その彼女がラップを披露している姿を皆さんは想像できるだろうか。
上品さを伴うルックスのせいなのか、一時はどことなく優等生的イメージがつきまとっていた彼女だが、アカデミー賞主演女優賞を獲得することになった映画「ブラック・スワン」での熱演により、すっかりそのイメージも払拭し、どこまでも表現の広がりを見せるNatalie Portman。表現者としての熱い魂はどうやら演技の枠だけにとどまりそうにない。
ある曲の中でNatalie Portmanの声がその音楽の一部として参加していたことがある。これを彼女の音楽活動と言い切ってしまうにはあまりにも無理があるので、そのような位置づけはしないが、映画「レオン」のサウンドトラックに収録されている「Hey Little Angel」という曲だ。古くからの彼女のファンならご存知の方もいるかもしれないが、この映画の音楽を担当したエリック・セラ氏が自ら歌っている曲で、マチルダ役のNatalie Portmanの声がラップのようにリズムを刻んで溶け込んでいる。映画の中では使われていないこのボーナストラックは、Natalie Portmanのちょっぴりくすみのある声が加わることで、なんとも雰囲気のある一曲に仕上がっていた。エリック・セラ氏の手腕によるところが大きかったのだろう。そして、あのボーナストラックから20余年。「レオン」の頃より少し渋みのある大人の声になった彼女の、本格的な「音楽」が聞ける。
Natalie Portmanが本格的なラップを披露しているのだ。NBCの『Saturday Night Live(SNL)』に出演し、ザ・ロンリー・アイランドと共にパフォーマンスを披露しているのだが、実は彼女にとってラップはこれが初ではなかった。既にザ・ロンリー・アイランドのアルバム『Incredibad』でもラップを披露していたのである。
『Incredibad』でのNatalie’s Rapは、非常に切れ味鋭いパフォーマンスとなっている。シャウト気味に鬼気迫る勢いでリズムを刻んでいく姿はまさにNatalie Portmanの新境地と言ってもいいのではないだろうか。攻撃的かつ破壊的なパワー溢れるパフォーマンスだ。細く華奢な彼女の体からは想像がつかないほどのエネルギーを放っている。
そして、この度公開されているSaturday Night LiveでのNatalie’s Rap 2。前作のNatalie’s Rapと比べると落ち着いた声調で、その分リズムの心地よさに集中できる曲に仕上がっている。また、自身の出演作「ブラック・スワン」、「スター・ウォーズ」を歌詞のネタに盛り込み、何と中盤では、自身が演じた「スター・ウォーズ」のパドメ・アミダラの強烈なメイクを施してラップを繰り広げているのである。その絵面が何ともシュールでユーモラスなのだ。演技の世界で既に突き抜けた表現力を披露してきたNatalie Portmanだが、ラップでのパフォーマンスによりさらに突き抜けた彼女の世界を見ることができる。きっと彼女自身がこの企画を心から楽しんでいるのだろう。
こんなNatalie Portman、見たことない――そんな気持ちにさせられること間違いなしだ。ファンの人にはもちろん、ファンでない人にもぜひ映像と共に楽しんでほしい。ものの見事に堂々と新たな表現の世界にどっぷり溺れた姿を披露している彼女に、きっとハートも目も奪われてしまうはずだ。
Photo:https://www.facebook.com/pg/natalieportmandotcom/photos
Written by 編集部