モーリー・ロバートソンとm-flo ☆Taku Takahashi、平昌五輪、地上波テレビ、中国のヒップホップを語る

モーリー・ロバートソンと☆Taku Takahashi、平昌五輪、地上波テレビ、中国のヒップホップを語る
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2018.02.17 09:10

毎週木曜日夜に放送されるジャーナリスト兼DJのモーリー・ロバートソンの音楽トーク番組「Morley Robertson Show」。


2月8日放送の回では、m-floのプロデューサー/アーティストでDJの☆Taku Takahashiがゲストで登場。テレビ番組、平昌五輪、ドラッグ、ビットコインなど、日米カルチャーの違いや、今の日本人が直面せずにスルーしがちな際どいテーマについて語っている。毎回、エッジの効いたトークと、今最も旬できわどいテーマを、平衡感覚を失うほどのディープな低音が共振するベースサウンドとともにお届けしている「Morley Robertson Show」で繰り広げられたトークをどうぞ。 




モーリー・ロバートソン(以下、MR):世の中が早めに動いて加速気味で、明日から平昌オリンピック。僕ね元々オリンピックとか聞かれても、運動したくない。発汗もしたくない人間なのでどっちでもいい派。でも最近毎日テレビに出てると、毎日平昌の話題だから、なんか言わなくちゃいけないんです。「モーリーさん、どう思いますか?」って聞かれるんですよ。「フィギュアスケートが」とか「長野五輪の成績が」とか話をしてるんです。


☆Taku Takahashi(以下、Taku):日本人選手の話しかしちゃいけないんですか??


MR:五輪って多少ナショナリズムが入ってくるわけですよ(笑)。マイク・ペンスが平昌訪問とか、北朝鮮応援団が平昌入りとかだったら、話せるわけですよ。


Taku:韓国と北朝鮮の関係とかの話ですよね。


MR:そうそう。統一旗の中に竹島が描かれてるとか、政治的な側面で五輪は語れるんですよ。だけど主婦目線の番組だったら、例えばフィギュアの宇野さんの演技が素晴らしいわけなんですけど、詳しくないとコメントしずらいんですよね。だからこの前「早すぎて何回転したか、見えません」って答えちゃったんですよ。4回転ジャンプとか、ハチドリみたいにすごい回転するんですよ。だからテレビで「個別の回転が見える人、いますか?」って聞いたら、ウケた(笑)。そこで「みんなに愛されるモーリー」になれたので、収録乗り切ったんですよ(笑)。なんでこんなこと暴露してんだよ。明日からクビだよ(笑)。


Taku:でもテレビって一瞬の間に答えを求められるのは大変ですよね。


MR:そうですね。で同時に思うのは、テレビから政治に直結するとヤバイとはみんなもう感じてますよね。トランプもテレビのスターだったじゃないですか。


Taku:こういう話はしちゃいけない空気ってスタジオで感じるんですか?


MR:やっぱり「Appropriate」が大事。何が適正で、そこからはみ出してもOKな幅があるんですよ。その幅というかロープに手を付けていると、茶目っ気があっていいんですけど、例えば「五輪で人間の身体能力の素晴らしさを測って比べることに意味ってあるんですか?」とか「コンマ数秒の世界ならAIやコンピューターが測ればよくないですか?」とか、言いたくなるわけなんですよ。台無しになるようなことを言いたくなるんですよ。だけどですよ、みんな夢を背負ってやってるわけじゃないですか。


Taku:金メダルを何枚取れるかとか。


MR:でも俺さ、「メダルの数で喜んでいるのは発展途上国じゃないですか?」とか言いたくなるわけ。ここは東ドイツですか?いつの時代のソ連ですか?面白いから言いたくなるんですよ。でも、多分ね駄目なんですよ。


Taku:それは場の空気をあえて壊したいモーリーのパンクスピリット?


MR:というか「ユアタイム」から丸2年が4月で経つじゃないですか。なんとなく地上波に出始めて。「ショーンK!」「モーリー!」みたいな始まり方があったじゃないですか。そこから最近脱北したわけですよ。もう戦略ですけどね、ちょうどここ半年でクイズ番組とかバラエティ番組とかに出過ぎることによって、払拭できたんですよ。誰も僕の顔を見て「ショーンK!」って言わなくなった(笑)。


昔トランプがオフレコで「Grab Her by the pussy」って発言したってあったじゃないですか。そういうことを生放送中にバッと言って、コマーシャル明けに居なくなって、代わりにクマのぬいぐるみが置かれてみたい。そういうファンタジーがあるんですよ。ここまで盛り上げておいて、自分の積み上げたタワーがトランプカードの家みたいなものでガシャン!と崩れるのって面白いだろうなと。その気持ち良さに対する悪魔の囁きが常にあって、横から「やれよー」って声を聞かないふりして前を向いて真面目にやっているんですよ。


Taku:「回転数分からないですね」みたいなコメントなんですね。


MR:だから「平昌五輪はスポーツより政治が上になってしまう。これだとね、4年間頑張ってきた選手がかわいそうになる」そういう話をすると、「そうだよねー」って周りの人が言ってくれて、雰囲気作りに貢献する「白モーリー」になったんですよ。


Taku:ここにいるのは「黒モーリー」(笑)。


MR:結構黒いね(笑)。この番組がクマのぬいぐるみに変えられたら、どうしようみたいな。


そういえばこの番組のアーカイブの話なんだけど。これって普通アーカイブって消える?


Taku:サイトからは消えますよね。でも、誰かが録音してアップロードしてる人いるかもしれないですね。


MR:そのアーカイブを残しちゃってる人がいてね。でね、中国で仕事してる知り合いが、北京で運転中に、隣に日本語が分かる中国人を乗せてる時に僕の番組を再生したことがあったんだって(笑)。そうするとね、その中国人んが「なんでこの番組はこんなにやかましいのか」とか「わけの分からない音楽をかけているんだ」とか「なんでラップにFuckって言葉が多いんだ」とか、「どうしてこの番組ではセックスやドラッグや政治を自由に語れるんだ」って聞いてくるんだって。「そんなこと日本ではやっていいのか」って反論してこられたって。


Taku:面白いですね。


MR:中国の現地の公序良俗に合わせて、それはよくないんじゃないかって言うらしいんですよ。そもそも中国で言うと、自分の身のためにならない。危険じゃないですか。だから、自由に言う「表現」自体を知らないんですよ。だから番組を批判してたんだって。で、しばらく経ってまた車に同乗したら、「あの番組聴かせて」って言ったんだって。


Taku:ドラッグみたいですね。


MR:この番組は、思想ドラッグなのよ。『1984』って映画の中で「Thoughtcrime」って思考犯罪っていうのがあるんだよね。ビッグブラザーに反対する考えを持ったことが犯罪でしたと。北朝鮮だったらそういう犯罪はあるのかもしれない。そういう社会ならともかく、中国って一応外国に向けてヒップホップのスターを生み出す番組をやったりして。GAIとかいたじゃない。それが何かの理由でいきなり全てのヒップホップを禁止したんだよ。


Taku:block.fmでも記事にしました。発端は不倫が関係してあるみたいですよ。


MR:それってでっち上げみたいですよ。それは別件逮捕。日本でいう国政操作ってやつ。陸山会事件みたいなやつで、どっちの政治的な考えを持ってるかでそういう民主主義だから日本は二面性があるじゃない。でも中国は誰かが汚職で逮捕されたり、誰かが不倫疑惑で急に放送禁止になるって時は、大抵は当局が動いてなんでもいいから下ろすってことなんですよ。これは哀しい話なんだけど、ある有名ラッパーは「repentance」(懺悔)させられたの。表立っては自分の意志でネットで謝罪したの。「私はヒップホップが好きだったけど、知らない間にアメリカの黒人文化の悪い所に影響されていました。これからは中国の人たちが明るく生きていけるようなラップをします」って言ったんですよ。転向声明ですよ(笑)。



Written by block.fm編集部


Morley Robertson Show 

毎週 木曜日 21:00~22:30 ON AIR 

▶︎ https://block.fm/radios/28

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