モーリー・ロバートソンとm-flo ☆Taku Takahashi、日本のバラエティ番組の「ワイプ芸」を語る

モーリー・ロバートソンと☆Taku Takahashi、日本のバラエティ番組を語る
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2018.02.17 09:00

毎週木曜日夜に放送されるジャーナリスト兼DJのモーリー・ロバートソンの音楽トーク番組「Morley Robertson Show」。


2月8日放送の回では、m-floのプロデューサー/アーティストでDJの☆Taku Takahashiがゲストで登場。テレビ番組、平昌五輪、ドラッグ、ビットコインなど、日米カルチャーの違いや、今の日本人が直面せずにスルーしがちな際どいテーマについて語っている。毎回、エッジの効いたトークと、今最も旬できわどいテーマを、平衡感覚を失うほどのディープな低音が共振するベースサウンドとともにお届けしている「Morley Robertson Show」で繰り広げられたトークをどうぞ。 



モーリー・ロバートソン(以下、MR):日本のエンターテインメントやマスメディア、バラエテイ番組って、一定の定跡が80年代くらいかな完成しちゃいましたよね。


☆Taku Takahashi(以下、Taku):良いテレビ番組もありますよ。僕も好きな番組あるので。だけどすごい違和感感じるのが、80年代に作られたテレビ番組の背景。謎のオブジェを後ろにガシャと置くあれ。未だにテレビ番組で見るんですよね。変わってないですよね。


MR:多分ね、大道具さんの業者と癒着して仕事断れなくなったっていうのがリアルな路線(爆笑)。


Taku:カメラの映し方もいろいろあるじゃないですか。


MR:まあね。これ自分のクビを締めることになるかもしれないいですけど、ワイプ芸いらないと思うんですよ。ワイプ、知ってます? VTRが流れている時に、画面の中で四角とか丸とかの別画面があって、出演者さんが「へー」「ほー」「えー」とか見えるやつですよ。あれ、全てをベビーフードにしちゃう気がするんです。だって、見ている人が出会ったことのない映像情報を咀嚼して自分で考えてディスカッションが生まれるっていう流れが本質的なんじゃないと思うんです。あまりにも全てに補助輪を与えてしまって、見ている人にベビーフードを与えるのと一緒。だからヤバイなと思うんです。


そういっておいて手のひらを返しますけど、俺最近ワイプ芸が上達して(笑)。


(爆笑)


MR:番組によるんですけど、後で見返したりすると「あ、俺のワイプ、人より長く映ってた」とかあるんです(笑)。「やった、プロデューサーさんありがとう!次もワイプがんばります」とか思ったり(笑)。身体は永遠に痩せないのに、顔だけ引き締まってきた。顔の筋肉使ってるから(笑)。


Taku:顔の筋肉が大事なんですね。


MR:顔プッシュアップしてる気分。眼筋とか口周りの筋肉がどんどん整ってきて、首から上がすごいスマートなの(笑)。中にはワイプ芸人って呼ばれる人たちもいるんですよ。ニュアンスとしては、空気を作るのが上手いタレントさんがいらっしゃるんですよ。よくあるのが、芸歴が長くて、一言だけで面白いことが云えて、ギャラも高い。だから現場でも肩の力が抜けてて、カメラもずっとワイプしてるの。そういう人たちをワイプ芸人なんです。


Taku:重要ですよね。特にバラエティ番組なら。


MR:でね、自分もある番組でワイプに徹したんですよ。ここにいるから俺の情報を使わなきゃとか、そういう野望を一切捨てて。僕はスムージーの中に入ってる粒子、迷彩模様の葉っぱの一つでしかないんだと。隣の人と同じ意見ですよ。ここで仮の姿で、顔だけ外国人のモーリーになってみようと思ったことがあるんです。それで「ふーん」とか「あー」とか「へー」とかやってたら、結構収録が良い雰囲気になったんですよ。誰も覚えてない。だけど「あ、感じ良い外国人だったねー」みたいに見た人は思ってくれる。でね、この前地方に行って講演会に呼んでもらったんですよ。


Taku:どういう講演会だったんですか?


MR:徳島に行ったら、地元の商工会議所の人が100人くらい集まってくださって、平均年齢はオーバー60みたいな。おばあちゃんが多かった。でね、「テレビで感じが良いから見に来た」って言われて握手求められて。


Taku:面白い。


MR:それで、「これからの世界における日本と経済」みたいなテーマがビッとあったんですけどね、「ちょっと違うんじゃないかな」と思って、最初自分のお母さんの話をしたんです。


Taku:お母さんもバイリンガルだったって話ですよね。


MR:そうそう。国際結婚で、ジャーナリストやってて、僕もいつしかジャーナリストになりましたって話をしたんですよ。そしたら、すっごく満足度高くて。後から主催者の人に言われたのは、普通にお年寄りが集まるイベントだと、すぐ退屈して、どんどんバラバラ帰っていくんですって。でも最後まで帰らなかった。100人だよ。だからね、迷彩色の一つになるワイプ芸、これじゃないかって思った。


Taku:毒吐かなかったんですか?


MR:間接的なことは言ったし、メタレベルではきわどい発想で喋ったんだけど、逆に自分が可愛そうだったみたいなアイデンティティ・クライシスの話をしましたよ。可哀想な思いしたけれど、最後に日本の人たちは僕を受け入れてくれた。ありがとうって。


Taku:良い話ですよね。


MR:良いよね。誰も傷つけてないよね。そしたらすごいウケて。だからこれだって思った。もうね、ジャーナリズムとかバカバカしくてやってられないとか思っちゃったり(爆笑)。ファクトチェック? Fuckとか思っちゃった(笑)。もう今日喋りすぎちゃったかもしれないので、ここで一曲いきます!


written by block.fm編集部



Morley Robertson Show 

毎週 木曜日 21:00~22:30 ON AIR 

▶︎ https://block.fm/radios/28

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