サイケデリックトランスの第一人者、INFECTED MUSHROOMの曲に感染してみよう

サイケデリックトランスのユニット、INFECTED MUSHROOM(インフェクテッド・マッシュルーム)
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2018.05.07 08:31


サイケデリックトランスのユニット、INFECTED MUSHROOM(インフェクテッド・マッシュルーム)


INFECTED MUSHROOM(インフェクテッド・マッシュルーム)はイスラエル出身のサイケデリックトランスのユニットだ。これは元々はイギリスやイスラエルで盛んな音楽で、そのバックボーンを持つ彼らはサイケデリックトランス界に君臨するアーティストなのである。彼らの楽曲はジャンルを超え世界へ感染する。




INFECTED MUSHROOMの20年と楽曲の変化


INFECTED MUSHROOMのメンバーは2人。髪が長い方が1980年生まれのエレズ・アイゼンで、シンセサイザーを中心とした電子楽器で曲を奏でる。スキンヘッドの方は1974年生まれの アミット・デュブデブ。彼の担当は、ピアノとボーカルである。結成されたのは、1996年。それから20年以上、EDM界に多大な影響を与え続けて来た2人なのだ。現在はアメリカ、ロサンゼルスを拠点とし、年間で約120ものライブを世界中で繰り広げている。


元々INFECTED MUSHROOという名前は、イスラエルのパンクバンドが使っていたのだが、彼らが解散したのを機に、魅力的なその名前を「頂いちゃった」らしい。確かに、「感染」というワードは、特に初期の楽曲に顕著であった、重低音が奏でる少々おどろおどろしい曲の雰囲気にピッタリだったのである。


彼らは、基本となるサイケデリックトランスにロックやキャッチーなテイストを加える作風から、しばしば”前衛的”と評され、「プログレッシブ・サイケデリックトランス」という新しいジャンルを作り上げた。スティーブン・ウィーラーのインタビューに、INFECTED MUSHROOMの2人はこう答えている。


「子供の頃はクラシックをやっていたが、新しい音楽に興味があった。メタリカからパンテラ(両者、アメリカのヘヴィメタル・バンド)、またプロディジー(イギリスのテクノ / エレクトロロック・バンド)やプライマス(アメリカ出身のオルタナティヴ・ロックバンド)もね。ちょうど思春期にサイケデリックがイスラエルで超人気になってて、元々好きなロックミュージックへの情熱とエレクトロニカを組み合わせたら面白いんじゃないかと思ったんだ。」




原点回帰、アルバム「Return Of The Sauce」が素晴らしい


2017年1月にリリースしたアルバム「Return Of The Sauce」の話をしよう。これは、前作より2年振りとなる、通算11枚目のアルバムである。


INFECTED MUSHROOMの最近の楽曲は、初期の頃のダークで不気味な世界観とは少しばかり様子が変わったが、一貫しているのは、ジャケットのアートワークの薄気味悪さだ。「Return Of The Sauce」もしかり。魔法使い風の老人2人がデカい目玉の出現に驚いているという、何のシーンだかよくわからないが、微妙に気持ち悪いのである。「Return Of The Sauce」の楽曲は、近頃EDM方向に寄って来たINFECTED MUSHROOMにおいて、初期のトランス精神への回帰を感じさせるものに仕上がっている。より洗練されたダークネスといったところか。また、過去のアルバムに比べて、歌は少な目である。




2017年5月、彼らは「Return Of The Sauce」についてのインタビューで「このアルバムのテーマは回帰だ。ちゃんとしたサイケデリックトランスのアルバムを創ろうと思ってね。久し振りの作業だからとても楽しかったよ。僕たちはサイケデリックトランスに戻って来たんだ。」と語っている。また、結成21年を迎えた事については、「バンド内のイザコザには、99%お金が絡んでるよ。あと、女ね。僕たちは2人とも両方を持ってるから仲良くいられるんだ。僕たちは音楽が大好きで、お金は二の次なんだよね」と話す。これからもINFECTED MUSHROOMの2人は、世界中にサイケデリックな胞子をまき散らしていくのである。





Photo:https://www.facebook.com/pg/infectedmushroom/photos


Written by 編集部



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