2017年10月にアルバム「Mr. Davis」をリリースした Gucci Mane (グッチ・メイン)。「Mr. Davis」は、全米アルバムチャートで2位、R&B/ラップ・アルバム・チャートでは1位の記録を残した。服役を終えてからの快進撃はまだまだ続いている。
アルバム「Mr. Davis」への参加アーティストがとにかく豪華なのだ。The Weeknd(ザ・ウィークエンド)、Big Sean(ビッグ・ショーン)など、そうそうたる顔ぶれなのである。トラップ・ミュージックの先駆けとしての基本姿勢は変えないまま、それぞれゲスト達の個性も生かした仕上がりになっている。売上も、2016年7月発売の復帰アルバム「Everybody Looking」を超える程である。アルバム「Mr. Davis」にも収録されているシングル「I Get The Bag(feat.Migos)」もその勢いで売れている。
更に2ヶ月後の2017年12月にはまたしてもアルバムをリリース。全11曲トータル30分39秒の「El Gato The Human Glacier」だ。フィーチャー企画一切無しで創っているのが、前作「Mr. Davis」との大きな違いである。
Gucci Maneがこの大復活を遂げたのは、約2年半に及ぶ服役生活での酒断ち、ドラッグ断ちのお陰だろうか。この「服役」は、2013年9月に銃、マリファナの所持などの罪状で逮捕され、2014年から約2年半を刑務所で過ごした事をさす。(刑務所に出たり入ったりを繰り返しているのでややこしい。)
Gucci Mane が収監されていたのは、インディアナ州の連邦刑務所。警備が厳しいことで有名だ。その2年半は、まず彼の容姿を変えた。出所後にアップされたインスタグラムの写真には、20kg以上も痩せてスッキリとしたGucci Maneの姿があった。おまけに、以前の”いかにも”なラッパースタイルではなく、白いシャツと白いパンツの爽やかファッションに身を包んでいるのだ。これにネットがざわついた。しかもよく見ると、トレードマークだった右頬のアイスクリームのタトゥーも消えている。そこでファンが出した結論はこうだ。「CIAが創ったクローンに違いない。」勿論、ネタ騒ぎなのだが、それほどGucci Maneが様変わりしていたのである。アイスクリームのフェイスタトゥーも、レーザーで薄くしたと本人が語っている。
刑務所生活はGucci Maneの習慣も変えた。酒と、本人も中毒だったと認めるドラッグをやめたのだ。元々はドラッグ・ディーラーだった筋金入りである。金輪際手を出さないのであれば、それは快挙だ。
Gucci Maneは、1980年、アラバマ州バーミンガム生まれのアトランタ育ちだ。2005年にリリースしたアルバム「Trap House」でインディーズ・デビューした。
その中のYoung Jeezy(ヤング・ジージー)をフィーチャーした「Icy」という曲がヒットしたまでは良かったが、権利争いが起こり、激しいビーフの応酬へと泥沼化。その後、事態は悪化の一途をたどり、終いには殺人事件に発展したのだ。ヤング・ジージーの仲間がGucci Maneの家に押し掛けて脅し、それに対抗したGucci Maneが銃の引き金を引いたのである。それにより、1名が死亡。Gucci Maneは殺人罪で逮捕されてしまったのだ。結局、2006年に正当防衛、証拠不十分で起訴取り下げとなっている。
ヒット作を次々と世に送り出すGucci Maneの野望は尽きない。2017年9月に、自身初となる自伝「The Autobiography of Gucci Mane」を発売。2018年にはそれを元にした映画の制作も伝えられている。本人は脚本の執筆にも乗り気だが、それが実現するかは不明だ。
Photo:https://www.facebook.com/pg/guccimane/photos
Written by 編集部