1970年代から80年代にかけ、名音楽プロデューサーとして数々の伝説的な世界的ヒット曲を手がけたGiorgio Moroder(ジョルジオ・モロダー)。実は彼は、エレクトロ・ダンスミュージックの創造主でもあることをご存知だろうか。今回は、そんな彼の数々の伝説を追ってみたい。
Giorgio Moroderは、1940年生まれのイタリア人。1960年代から歌手として活動していたが、1970年代に入ってからは当時最新の機材だったシンセサイザーを使用した曲作りを始め、同時にプロデューサーとしての活動をはじめるようになった。彼がプロデュースしたシンガーの中でも特筆すべきは、Donna Summer(ドナ・サマー)だろう。彼女に提供した楽曲はディスコミュージックとして世界的なヒットを飛ばし、後に彼女は伝説的な「ディスコの女王(Queen of disco)」と呼ばれるまでになった。彼女のヒットさせたディスコミュージックは数々あるが、特に1977年の「I Feel Love」は大ヒットを記録し、当時のディスコシーンに大きな影響を与えた。その後も1979年に発表の「Hot Stuff」は全米NO.1ヒットを記録するなど、Giorgio MoroderとDonna Summerが世に送り出したディスコチューンは数知れない。
ダンスミュージックのパイオニアと言えるGiorgio Moroderだが、彼の伝説はそれだけにはとどまらない。映画音楽の分野でも、彼は数々の名画の音楽をプロデュースしているのだ。彼が映画音楽を手がけたのは、主に80年代。全世界で大ヒットを記録した「フラッシュダンス」をはじめ、トム・クルーズを一躍ビッグ・スターへと押し上げた「トップ・ガン」など、80年代を代表する映画の多くで彼は音楽プロデューサーをつとめている。
1984年に手がけた映画「ネバー・エンディング・ストーリー(The Never Ending Story)」では、イギリスのロック・グループ、カジャ・グーグーの元ボーカル、リマールが歌う主題曲が世界各国で大ヒットした。この曲はその後もCM音楽やBGMなどでよく使われているので、耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。「トップ・ガン」のテーマ曲、「デンジャー・ゾーン~TOP GUN THEME」など、他にも彼の作曲した映画音楽は数知れない。彼の音楽が数々の映画のヒットに大きな影響を与えたのは間違いないだろう。
1970~80年代にディスコ・ミュージック、映画音楽の分野で数々の伝説を残してきたGiorgio Moroderだが、現在でもその活躍は続く。音楽制作と平行して、最近では何とクラブのDJとしての活動も行っているのだ。2013年には日本のテクノミュージック・イベント「WIRE(ワイアー)」にDJとして参加し、電気グルーヴやDJ TASAKAなど、日本を代表するテクノミュージシャンたちとも競演を果たしている。フランスのテクノユニット・Daft Punk(ダフトパンク)が2013年にリリースしたアルバム、「Random Access Memories(ランダム・アクセス・メモリーズ)」では、Giorgio Moroder自身がモノローグを語る形で参加するなど、後進のミュージシャンたちとの交流も大きい。
そんな彼だが、2015年にはなんと約30年ぶり以上となるオリジナル・ソロアルバム「デジャヴ」を発表した。カイリー・ミノーグやブリトニー・スピアーズなど、多くのシンガーたちが参加したこのアルバムは、往年のダンス・ミュージックを感じさせながらも現代的なEDMの息吹を加えたダンスチューン。まったく古さを感じさせない音作りは、さすがに彼ならではのものと言えるだろう。彼の伝説は、まだまだ終わっていないのだ。
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Written by 編集部