現在の20代後半から30代にかけての音楽好きで、かつてクラブに行ってDAISHI DANCEのリミックスを聞いたことがないという人間はほぼいないだろう。それほどまでに爆発的な人気を誇り、誰にでも馴染む音楽を作り続けるセンスこそがDAISHI DANCEのDJとしての最大の魅力である。
DAISHI DANCEのミックス音源といえば、さながらアンビエントミュージックのような自然に溶け込むメロディアスな曲調が特徴として挙げられる。クラブシーンでも心地よいビート音と優しい音楽スタイルが人気を博し、また同時に華やかさもあったためかつての若者たちはこぞってCDを買ったものである。
もちろんクラブでも流れるが、ドライブミュージックとしても最適なCD音源は当時の車でかける音楽としては最先端のオシャレミュージックのアイコン的な存在だったようにも思える。そんなDAISHI DANCEの世界観を構成するのが4つ打ちのビートとピアノやストリングスを使ったメロディーライン。ハウスというジャンルの中でもクラシカルな要素を打ち出した作品の数々は、昔のクラブキッズの記憶の中でいまだ色あせずに残っていることだろう。
DJとしてのDAISHI DANCEは4台ものCDJを駆使した唯一無二プレースタイルで、いつでもクラブのフロアーを一体感と高揚感で満たしている。HOUSEのみならず近年ではEDM調の楽曲も手掛けていてその進化は留まることを知らない。数多くのDJイベントを経験し、有名海外フェスなどにも参戦している彼のDJとしての厚みは未だに衰え知らずである。そんなDAISHI DANCEのトラックを彩るのが豪華なボーカル陣。EDMミュージックなどはノーボーカルなものも多いが、DAISHI DANCEは国内外を問わず実力のあるボーカルの歌声を乗せた楽曲を披露。そうした部分も彼の大きな特徴といえるだろう。
DAISHI DANCEの音楽で外せない要素と言えば「ジブリ」である。数々の名曲をサンプリングしHOUSE楽曲に仕立て上げてきたそのセンス、完成した音源が彼を国内トップクラスのDJに押し上げるのに一役を買っていたことは間違いないだろう。誰もが一度は聞いたことがあるジブリ音楽をクラブシーンでも流すというのは当時なかなかに奇想天外なアイディアであった。しかし、ジブリ作品の世界観をそのままに壮大なスケールでリミックスされた楽曲はクラブのクライマックスでは鉄板のラストソングとなっていった。
美しいストリングスから入り、曲のサビ部分では壮大なオーケストラ音楽と共にフロアーの盛り上がりを最高潮までに達するDAISHI DANCEとジブリ音楽のコラボレーションは興奮を越えて感動すら覚えるレベルである。そんなDAISHI DANCEのジブリ音楽へのこだわり、そのルーツは小学生のときに見た「となりのトトロ」だと本人は語っている。作中で使われているピアノラインに対して、DJとしてのビートミュージックを絡ませたらどんな融合が出来るだろうかと興味を持ったことから、現在のDAISHI DANCEスタイルは始まっているようだ。
現在も札幌のクラブシーンを中心にDJとして活躍するDAISHI DANCE。その進化は勢いをそのままに新しいスタイルへと繋がれている。彼の数年ぶりの新作発表を待ち望んでいる人間も多いだろう。懐かしいジブリ音楽とのコラボ楽曲も素晴らしいが、EDMと融合した新しいクラブミュージックの形をきっとDAISHI DANCEは提示してくれるはずだ。期待が募る彼の今後の活動やプロデューサーとしての仕事には、現在の音楽業界のみならずかつてのクラブキッズたちも注目していることだろう。
Photo:https://www.facebook.com/pg/DJDAISHIDANCE/photos
Written by 編集部