スウェーデン生まれのAviciiは、世界中で大人気のEDM界を代表するアーティストだ。本名はTim Bergling(ティム・バーグ 、トム・ハングスとも呼ばれている。)世界中のビッグフェスに参加しながら数多くのアンセムを生み出し続けたAviciiの曲は、グラミー賞に2回もノミネートされた。ファーストアルバム「TRUE」は世界74カ国のiTunes音楽チャートで1位を獲得している。
スェーデンのストックホルムで生まれたAviciiは、高級住宅街エステルマルム地区で育った。幼少時から様々な音楽に興味を持ちピアノやギターにも触れるが、特に音楽制作ソフトに夢中になり、エレクトロミュージックのティエスト、スウェディッシュマフィア、ダフトパンクなどに影響を受けて育つ。18歳から本格的に音楽活動をスタートし、ブログで次々に楽曲を発表する。
2008年にはAviciiの曲を聴いてその才能に惚れたオランダの伝説的DJティエストから招待され、イビサ島のイベントに初参加する。2010年に発表した楽曲「Seek Bromance」は、イギリスの全英チャートのみならず10か国以上のチャートでトップ20を獲得。複数の国でゴールドディスクを獲得した。スタイリッシュかつ軽快なアップテンポで、それまでエレクトロミュージックシーンで王道であったテクノやトランスとは違い、ポップ色が強くノリの良い音楽で、聴きやすいEDMサウンドに仕上がっている。
2011年にはフランスの人気DJデヴィット・ゲッタとコラボレーションした「Sunshine」が、2012年の第54回グラミー賞最優秀ダンス・レコーディングにノミネートされるという快挙を成し遂げた。この曲はクールでゴージャスなサウンドとワイルドなハードトランスなサウンドが見事にコラボレーションした一曲で、お洒落ながらもシンプルで気持の良い曲に仕上がっている。超人気DJと新星DJのコラボレーションというコラボレーションが、世界中のダンスフロアを沸かせた。
同2011年には、1962年リリースのエタ・ジェイムズの楽曲「Something's Got a Hold on Me」をサンプリングした「Levels」をリリースした。この曲はあまりにもキャッチーで現代的に仕上げて耳に残りやすく、そしてダンサンブルな内容であったために、世界約20か国のチャートでトップ10を席巻した。アメリカ、イギリス、スウェーデンなど8カ国あまりではプラチナディスクを獲得。そして第55回グラミー賞ダンス・レコーディングにもノミネートされるという快挙を成し遂げた。2012年にはDJ Magazineで世界トップ100DJの中から3位に選ばれるほど人気が急上昇した。
その後も新しい曲をリリースするたびに世界のチャートを席巻し続けて、2013年にデビューアルバム「True」をリリース。先行シングル「Wake me up」はソウル歌手アロー・ブラックをフィーチャーし、瞬間風速のように全英チャート1位を獲得。イギリスの2013年の最速販売記録を更新した。欧米各国でプラチナディスクに認定され、日本でも当時のクラブシーンを席巻した。カントリー調のギターとバスドラムの重低音、ラテンアメリカをイメージするようなシンセサイザーの3種類の音楽がミックスされている。シンプルながらもキャッチーで、明るく解放的で魅力に溢れた曲だ。
Aviciiの音楽は、キャッチーで聴きやすく、誰が聴いても心地よくなるサウンドであふれている。そしてミックスされている音はジャンルを自由に飛び越えて、現代的にアレンジされている。一方で歌詞を見ると、ノスタルジックであったりメランコリーであったりして、実にギャップがある。単なるパリピ向けのアゲアゲな曲ではなく、実は暗くて深い歌詞も内包しているのだ。分かりやすい音楽と分かりにくい歌詞が同居しているAviciiのEDMはオリジナリティに溢れていて、ティーンから大人まで熱狂することができる。そしてどの曲にも、大量消費で終わらないEDMサウンドを作り出そうという、彼の強い信念が宿っているかのようだ。EDMの世界を拡張した世界トップDJとして、Aviciiが残した功績はあまりにも多い。
Photo:https://www.facebook.com/pg/avicii/photos
Written by 編集部