ニューヨークのハーレムを拠点に活躍中の「A$AP Mob:ASAP Mob」。ヒップホップコレクティブとして知られる彼らだが、どういった魅力があるグループなのだろうか。今回はA$AP Mobの経歴などを見ながら、彼らの魅力について迫ってみよう。
「A$AP Mob」は、ASAP Yamsを中心に結成されたヒップホップ集団である。ただのヒップホップグループではなく、ファッションアイコンとして人気のA$AP Rockyなど、巷を賑わせる凄腕アーティストが多数所属するモンスター集団だ。元々2006年に、ASAP Ban、ASAP Ilz、ASAP Yamsの3人が結成したグループである。その後所属メンバーが増え、現段階では16名が所属する大所帯のグループとなった。
2012年にデビュー・アルバム「Lords Never Worry」を発売。その後も様々な曲を発売し、人気シリーズとなった「Cozy Tapes」が全米アルバム・チャート6位を獲得した。A$AP Mobの活躍は音楽シーンに限らない。DKNYやDiorなどのブランドの広告モデルを勤めるなど、ファッション業界でも人気の集団だ。また、New York Fashion Weekではランウェイを歩くなど、今までのヒップホップグループでは考えられない程、様々な分野で注目を集めている。
A$AP Mobのメンバーの名前を見てみると、全員の名前に「ASAP」がついている事に気づくだろう。なぜASAPがついているのか気になっている人も多いのではないだろうか。
欧米ではメールやチャットをする時に、長文を省略する場合「ASAP」と表現される場合がある。これはできるだけ早くという意味を持つ、「As Soon As Possible」の頭文字をとった物だ。しかし、A$AP Mobの場合は少し意味合いが違うようだ。
ASAPと名づけたのは、A$AP Mobの創立メンバーの一人「ASAP Yams」である。当初は「PIF Unit」という名前がつけられる予定だった。これは「Paid In Full Unit」の略でギャラは満額で払うというリッチな意味を表した言葉だ。しかし、ASAP Yamsが常に努力し成功するという意味を持つ、「Always Strive And Prosper」を略したASAPという名前を考案し、A$AP Mobが誕生した。この名前を考えたASAP Yamsは過去に「Jim Jones」のもとでインターをしていた経験がある。これもあって、メンバーの中でも非常に高いモチベーションを持ち、グループを成功に導く努力を行っていた。
A$AP Mobは、他のヒップホップグループにはない独特な世界観を持っている。重々しいベースにバスドラム、その上に重なる幻想的なメロディーラインと独特なラップが特徴的だ。ヒップホップの中にも多数のジャンルが細分化されているが、A$AP Mobは主にクラウドラップと言われるジャンルにカテゴライズされる場合が多い。
クラウドラップというのは、その名の通り雲に浮くような浮遊感のあるメロディーが特徴的なジャンルである。従来のヒップホップはレコードからサンプリングした物をベースに制作されるのが一般的であったが、クラウドラップではシンセサイザーや加工したボーカルサンプルが良く利用される。このジャンルの代表的なアーティストがA$AP Mobだが、他にも「Clams Casino」や「MAIN ATTRAKIONZ」などもクラウドラップを取り入れており、近年ではヒップホップの一つのジャンルとして確立されている。
ヒップホップには興味があったが、クラウドラップはまだ聞いた事がない。そういう方は、まずA$AP Mobの楽曲を聞いてみると良いだろう。
Photo:https://www.facebook.com/pg/asapmobofficial/photos
Written by 編集部