1982年にリリースされ、40年の歴史に近づきつつある名機TB-303。303がなければ存在しようがなかった独特な音色がアシッドハウスを生み出し、今日的なEDMを含む多くのダンスミュージックに強く影響を与えたことはよく知られている。
現代においては303より圧倒的に多機能で、サウンドのバラエティも広いシンセがいくらでもあるし、ヴィンテージ・シンセと比較しても303の機能は少ないのに、サウンドの圧倒的な魅力だけで今でも最高のベースシンセといえば303で満場一致だろう。
オリジナル機はもちろん、クローン機やプラグインも多数リリースされている中から、当記事では現在も比較的入手しやすい303機材を中心に紹介する。303を体験したことがなければ、この機会にクローンでもプラグインでもいいので触ってみてほしい。
ループするベースラインのフィルターを解放すると同時に、脳内に合法的なモノとは思えない強烈な中毒性のある高揚感と開放感があふれ出すはずだ。
まずは本家Rolandの復刻機TB-03。オリジナルの音源部はもちろん、アクセントやスライドなどの挙動もそのままに再現するACBテクノロジー(Analog Circuit Behavior)によって再現している。アナログ回路ではないというところを気にするかどうかは、サウンドを聞いてからにしてほしい。303を知り尽くすRolandならではの濃い再現となっている。より、アシッドに鳴らすために重要なディレイとオーバードライブを内蔵し、外部エフェクトなしでアシッドなあの音を再現できる。USB接続でDAWと連携できるので、制作用途でバリバリ使い、かつハードがいいという場合はベストな選択。
Rolandの定額制プラグインRolandクラウドの膨大なコレクションに含まれるTB-303プラグイン版。当然ながら高い精度で再現されており、303ならではのステップ入力もよりやりやすく改善されている。当初はプラグインでサブスクってどうなの?という見方もあったが、今となっては歴代シンセが使え、90s、さらに最近アツい2000s初期系のサウンドまで使い放題で月2,000円ほどってお買い得。
30日の体験期間もあるので是非試してみよう。
▶トラックメイカーに朗報! Roland CloudにTB-303追加、本家の音がソフトシンセ化
すでに303クローン戦争に完全な終止符を打ってしまった感のある、ほぼ完璧なクローン機。アナログ回路はそのままに、オリジナル機にはなかったディストーションや、各種IOを備え、しかも価格は1万5千円(US価格)ほど。たった一つの欠点をあげるとすると、2020年3月3日現在も国内ではリリースされておらず、並行輸入などでも品切れで入手困難な状況であるということだけだろう。
いやーサウンドはオリジナルにはかなわないでしょう?という方はこちらの比較動画でブラインドテストを。
▶Behringer VS Devil Fish !?クローン界の覇者とアンオフィシャル改造界の複雑な関係
アナログ回路をそのまま再現し、フィルターのかかり具合などもオリジナルにそっくりということで人気のクローン機。今でも支持者が多く、国内でも入手しやすい。グリッド入力だけでなくリアルタイム入力にも対応し、シーケンスを止めることなく切り替えが可能など、ライブパフォーマンスでも使い勝手がいい。実機ではできなかったシャッフルもできるなど高機能なクローン。Behringerの価格設定に慣れてしまうとお値段はそこそこですが、アナログシンセの価格ってこんなものだし、見た目のかっこよさや所有感も含めお値段以上の価値。
こちらは日本ではやや見つけづらいが、海外通販でもお求め安い価格で入手できるクローン。シーケンサー部がないもののサウンドは303ということで、外部コントロールで使用するのであれば小型で扱いやすそう。
プラグインの303としては長い歴史を持ち、サウンドエンジンが改善されたり細かな機能が追加されているので、機能・サウンドとも評価が高い。プラグイン版ではシーケンサー部分がないものも多いが、こちらはもちろんシーケンサー部分も搭載し、303らしい打ち込みが楽しめる。303のサウンドは欲しいけど、ハードはちょっとハードル高いという方へはおすすめ。
こちらはなんとフリープラグイン。シーケンサー部はないが、DAWで普通に打ち込めるので303初心者には最適。フィルターを利用したウニウニビヨビヨなサウンドは十分に楽しめる。 Win VST 32/64bitもしくは Mac VST, AU 32/64bitに対応。
オリジナル303を持ってるのにこの記事を読んでしまったガチ勢にはこれ。オリジナル303は本気で近い将来国宝になると思ってるので、いまからちゃんとカバーをして保管しておこう。
303はヴィンテージシンセの一つという領域を超え、ギターやピアノのように303という楽器と呼んでいいほど、時代を超えた普遍的な存在となっている。これを機に使ってみようというクリエイターの方は、90sハウス〜テクノサウンドだけでなくバンドものやクラシックなど、生楽器主体の音楽に融合させ、ベーシストの代わりに303シストがメンバーにいても面白いかも!
では最後に昨年の303dayに公開された303神のDJ Pierreのお姿を拝見しよう。
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BehringerよりついにTB-303クローン登場!
https://block.fm/news/BehringerTB303
written by Yui Tamura
source:
http://www.mam-germany.de/mb33-manual/
https://www.roland.com/jp/products/tb-03/
https://www.behringer.com/Categories/Behringer/Keyboards/Synthesizers-and-Samplers/TD-3-SR/p/P0DTD#googtrans(en|en)
http://fukusan.com/products/acidlab/bassline3/
https://www.audiorealism.se/audiorealism-bass-line-3.html
https://yoozmusic.com/yooz-bl-303/
photo:
https://youtu.be/_zQA0WZdApc